Value Frontier 株式会社 代表取締役

梅原 由美子

20年以上、環境分野のコンサルティングや商品マーケティングを行ってきた梅原さん。現在ではサステナビリティに関心の高いZ世代の声も取り入れながら、政策提言や講演、啓発活動などに携わり、「サステナブル消費」の伝道師ともいえる存在です。Food Up Islandも、創立当初からサステナビリティへの向き合い方をアドバイス頂いています。

梅原さんは、企業コンサルティングから若年層への啓発活動まで、大変幅広く活動されています。環境に関わる仕事を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

最初のきっかけは、高校時代にオーストラリアへ留学し、大自然の中で1年間を過ごしたことですね。キャンピングカーでエコツアーをして、冬は雪山に囲まれ、夏は海に潜り…。日本では考えられないような大自然との共生を経験しました。私たち人間も大きな生態系の一部なんだと肌で感じましたし、生態系を守ることに貢献したいと強く思いました。その一方で、実は私は都会生まれの都会育ちで、都会生活も大好きなんです。都会で暮らしながらも自然や資源が守れるような仕組みがつくれないかなと考えて、大学・大学院で環境に加えて経済学や政策学も学びました。卒業後にカーボンオフセットやオーガニックの商品マーケティングを始め、今に至ります。

長い間活動される中で、いちばん大変だったのはどんなことでしょうか?

わりと何事も楽しめるタイプなので、あまり大変だと感じたことはないんですが(笑)。強いて言うなら、以前は環境の話がなかなか通じず、やり取りがかみ合わなかったことでしょうか。今は環境への注目度が高く、「カーボンオフセット」や「ネットゼロ」など多くの方が知っていますが、十年くらい前まではそういった用語はほとんど知られていなかったんですよ。いろいろな企業へ、環境経営に関する企画提案書を持っていくのですが、「CO2排出権?バーチャルでよくわかんない…」と言われたり、「カーボンオフセットって印刷のことだよね?」と言われたり(笑)。あまりにかみ合わなくて面白いなと思ったりもしましたけど、話が通じない苦労はありましたね。

そんな中でも、面白いね、と言ってくれる人はいるもので、そういう仲間を見つけて商品化したり、事業を興したりしてきました。JTBさんのカーボンゼロ旅行なんかはその一例ですね。

近年ではそういったサステナブル消費も増えてきていますが、食品では、やはり価格優先で商品が選ばれることが多く苦労しています。サステナブル消費を推進していくためには、何が必要だと考えますか?

難しい問題ですね。単に製品をつくって売っていくだけでは、マーケットはなかなか広がりません。消費者が自ら、「地球に優しくサステナブルなものを選びたい」、「それがオシャレでカッコいい、だから高くてもいい」と思えるように、情報発信や啓発活動、仕掛けをしていく必要があると思います。たとえばヨーロッパでは、民間企業だけでなく行政も一体となって、サステナブル消費の普及啓発を進めています。国も企業も「サステナブルはクールだ」という空気づくりをしていますし、税金でサステナブルマーケット創出を助成したりもしています。日本でも官民協働は必須だと思いますが、まだまだ不十分なところがあると感じます。Food Up Islandも、複数社が集まっているからこそできるチャレンジをして、行政に働きかけていってほしいと思います。

最後に、Food Up Islandへの期待と応援メッセージをお願いします。

食品企業は、地球環境に対して大きな影響力があると思っています。食べるという行為は誰もが毎日行うものだし、消費行動の多くを占めていますから。しかも食品の主原料である農産物は、土壌や気候とも深い関係にあり、相互作用しています。食品企業がサステナブルマーケットを広げ、消費者が食べものを選ぶときに少しでも地球環境への影響を意識するようになれば、大きな前進につながるでしょう。食品企業の集まりであるFood Up Islandには、それを後押しする活動をぜひ続けていってほしいと思います。一緒に頑張りましょう!