小さい頃から食べることが大好き! 大学では食品成分の健康効果を時間栄養学的な観点で研究し、入社後は心と体の健康を実現できるような商品の開発を目指す。同じ志を持つ人たちと共に食の未来を考えたいと思い、Food Up Island(以下FUI)に参画。最近は、食品業界の持つ悩みを生活者のみなさんと共有して一緒に考えていきたいと思っているんだとか。今回はそんな田村好さんにお話を伺ってきました!
聞き手:FUI事務局 金丸美樹
文:(株) SEE THE SUN インターン 町田彩華
心も体も健康になれるような商品を作りたい
小さい頃の夢ってありましたか?
夢というほどではありませんが、小さい頃は動物が好きで生物多様性に興味がありました。
大学では生物に関わる研究をされていたんですか?
それも考えていたんですが、やはり食べることが好きだなと思って、食品研究の分野に進みました。食品成分の健康効果を、同じものを食べるにしても朝と夜だったらどっちの方がより効果的かという時間栄養学の観点から研究していました。
そうなんですね! その後、今の会社に入られたと思うんですけど、入社時の夢ってありましたか?
中学生のときに祖父が病気で入院したことをきっかけに、病気になった人を治すのも大事だけど、そもそもならない方がいいのでは?と思うようになり、心と体の健康を実現できるような商品を作りたいと思っていました。
健康な心と体を作るためには食が大事だなと思ったんですね。
そうなんです。それに加えてFUIでの活動を通して、最近では小さい頃に興味があった環境保全や生物多様性の分野への想いも出てきましたね。自分が作っている商品の環境負荷が少ない方がより嬉しいなと思っています。おいしさ、健康、環境という三つの軸を実現できるような商品を作っていけたらいいなと思います。
日本の食の素晴らしさを世界に発信していきたい
今後やってみたいことは何かありますか?
日本の食がすごくいいものなんだということを世界にもっと発信していきたいですね。企業の垣根を越えて協力し合って、みんなで日本のこと、世界のこと、地球のことを考えていけるような活動ができたらなと思います。
今、チーズの開発に携わられていると思うのですが、日本で量産化されているチーズのここは海外よりすごいぞ!って思うところは何かありますか?
海外だとプロセスチーズという日持ちするようなチーズは、そんなに流通量が多くないんです。ナチュラルチーズが食文化に根付いてるからこそ、加工度が高いものは好まれない傾向にあるんですよね。そのプロセスチーズの種類の多さやおいしさに関しては、日本は群を抜いてると思います。
そうなんですね!ちなみに、何かチーズ以外にやってみたい商品はありますか?
チーズも発酵食品ですが、その他の発酵食品ですかね。日本にはいろんな種類の発酵食品があるので、発酵食品の掛け合わせとか、日本ならではの菌を使った発酵食品を増やせたら面白いかなと思います。
日本の食のここがすごいなと思うことってありますか?
全体的な衛生レベルの高さでしょうか。どこで食べ物を買っても安心感があることって、当たり前のようですが、世界を見渡してみると実はすごいことですよね。
同じ志を持つ人たちと普段できないチャレンジを。
FUIに参加してくださった理由を教えていただけますか?
直属の上司に声をかけてもらい、東京駅で開催した「東京ステーションラボ~東京駅に研究室がやってきた~」というFUI主催のイベントに参加したことがきっかけです。当日は、販売スタッフとして、研究開発中の商品をお客様に召し上がっていただき、直接感想をお伺いしました。そのイベントが楽しくて、FUIの活動に積極的に参加するようになりました。
その時、何が一番印象的でしたか?
私は2020年、コロナが始まった年に入社し、社内の人とすら深い関わりを持ちにくい環境だったので、社外の人と接することができたのがすごく楽しかったです。それと、お客様と直接お話することで、入社してから生活者と関わったり、お客様とコミュニケーションとったりできていなかったと気づかされました。
これからFUIに期待することはありますか?
社内ではできないことに挑戦していきたいですね。FUIという複数社が集まるコミュニティだからこそできることがあると思うので、同じような志を持った人たちと1社ではできないことにチャレンジしていきたいなと思っています。
FUIで社外の人と会うことによって、自分も何か変わったりしましたか?
変わったと思います。同年代の人達が、熱意を持って商品開発をしてることにとても刺激を受けましたし、自分が認識していなかった課題に目を向けている方もいて、そこにも課題があったのかと気付きをもらっています。
ものの見方や熱量からの刺激もあり、視点も広がった感じですか?
そうですね。自分が持ってない引き出しから、こういうのもあるよって教えてくれます。各社で協力することでできることの幅が広がっていると思います。
大切な人の笑顔を見られる幸せ
最近、何かワクワクしたことってありますか?
先日、結婚式をさせていただいたことですかね。自分たちで考えたもの、好きが詰まった空間で、大好きな人たちが笑ってることにすごく幸せを感じました。好きを詰め込んだ空間はこんなにも素敵なんだなと思いました。
それってお仕事でもできそうですよね。熱意を持って作った好きなものを、お客さんも好きになってくれると、すごく楽しくなりそうですね。2023年に開催予定の未来のモック展もまだまだ大変なところもたくさんありますが楽しみですよね。好きな人を呼んで、笑ってもらって、結婚式と同じような感じになればいいですね。
田村さんが働いていて、一番やりがいを感じることって何ですか?
自分が関わった商品が店頭に並んで、お客様が手に取る姿を見るのがメーカーに入ってよかったなと思う瞬間ですね。
結婚式と同じ、これまでの苦労が報われる瞬間みたいな感じですか?
そうですね。ちなみに結婚式でもチーズを使ったお料理を出したんですが、自分が日々関わっているものを通して、大切な人を喜ばせられるのは、やりがいに繋がるなと思います。
安全性とロス、適度なバランスを
食品業界に対してこうなったらいいなと思うことはありますか?
食品業界全体として、ロスや廃棄が多いことが課題だと思っています。ロスや廃棄が起こる理由のひとつに、安全性の確認や担保があります。業界では、食べても健康上問題ないものでも、どこかに少しでも不備があれば捨てられているのが現状です。安全性とロス削減の両立ができないかなと日々考えています。皆さんに安全・安心な商品を効率よくお届けするために考えられた結果として今のかたちになっていると思うのですが、何かうまく変えられないのかなっていうもどかしさもあります。
食の安全性を保つための過度な対応によってロスが生まれたりしないように、そこをどうにかできたらいいなと思いますよね。 あと、普段、御社の商品を口にしているお客様に伝えたいことはありますか?
最近は環境に配慮してほしいというお声をよくお聴きします。環境の分野は課題が多岐にわたり、適切なアクションを見極めることがとても難しい領域です。各社、様々な制約の中で悩みながら、多種多様な課題に真摯に向き合っていることを知っていただけたらなと思います。取り組みを進める中で、お客様のご理解、ご協力をお願いすることもあるかもしれませんが、ぜひ一緒になって考えていただけたらありがたいなと思います。
私たちも悩みながら取り組んでいるんですよね。
業界全体が課題だと思っていて、みんなが悩んでいるので、一緒に考えていくことができたら嬉しいです。
そのためにも、FUIでは業界にこだわらず、同じ考えを持った仲間をどんどん集めていきたいですよね。
そうですね!
本日は、貴重なお話ありがとうございました! 引き続きよろしくお願いいたします。
お話を伺って
環境への配慮など、私たち生活者が感じている悩みを、メーカーさんも同じように考えていることを知りました。作り手の方々が日々思っていることをもっとたくさんの生活者に知ってほしい!と思いました。私たちが普段見えていない部分への理解を深めることで、お互いに居心地の良い社会になっていくのかなと思いました。